1988年リリースの作品。
ワールドミュージックの数々のアーティストが日本でも紹介され、火がつき始めた頃にグッドタイミングで出てきた人。
その謎めいた摩訶不思議な歌声が、大きな魅力です。
Tahra(ターラ)は、西アフリカのモーリタニアのネーマというところ出身のアーティストです。
モーリタニアと言うとアフリカ大陸の西部、大西洋に面した砂漠の国です。ちょうど私の大好きなユッスー・ンドゥールで有名な国セネガルの真上に位置します。
ターラの歌声は、ユッスー・ンドゥールの野性的で奔放な歌い方を彷彿とさせアフリカを強く感じさせます。
文化的には、イスラムの文化が強い影響を持っていて曲にもその香りがしみ込んでます。
砂漠の真ん中で地声で歌ってそうな逞しさがあります。
曲の内容は、ラブソングと平和に関する歌の2テーマに分かれているようです。
日本と違って、戦争はもうたくさんだというテーマを取り上げた詞の歌が多いんでしょうね。
有名なところでは、イスラエルの歌姫オフラハザの「キリヤ」というアルバムでは、戦争や来る日も来る日も死者が出ることへの悲痛なやりきれなさを歌う詞ばかりで身につまされる思いになりますし、レバノンの歌手ファイルーズの歌にも多いですね。
ファイルーズは、ステージ上で笑顔を見せないのは中東に平和が来る迄決して笑顔を見せないと決めているからとのエピソードがあります。
日常生活に深く浸透しているのでしょうね。
ラブソングをもう一つのテーマに持ってきているあたりは、愛は世界を救うという感じですか。
ただ今の日本では、愛を愛する~恋に恋する~単なる妄想だけの、欲望だけの愛が蔓延していて残念な気がします。
作家三島由紀夫が言うところの「子犬の恋」レベルの愛がほとんどではないでしょうか。
スポーツチームを必死で応援するエネルギーはあるが、困っている人を手助けする最小限のエネルギーを使う(応援する)のも惜しむ情けない人が多くないでしょうか。
話がずれてしまいましたが、この作品は20年以上も前の古いものですが今でも有効です。楽しめます。
1.ズウェイン・ズウェイン
2.ディク・エル・エヤム
3.YAMEN-YAMEN
4.ゲワット
5.ドント・レット・ミー・ダウン・アンド・ダウン
6.マメスリリー
7.ハイユー・シュウブ
8.トゥ・ベイビ